「割引券あるんだけど、また一緒に行く?」
と誘われて、先輩達とカラオケに行くことになった。
前にご一緒させてもらった時は、1曲目は他人の分を入れて歌わせる。というやり方を、先輩達がやっていた
ので私らも真似してみたら、結構面白かった。しかし今日は
「最初の1時間はテーマを決めて縛りを入れる」
ということで、くじを引いたら「ウルトラヒーロー」だった。(ちなみに後で他のくじも見せていただいたら、
「特撮」「戦隊ヒーロー」「アニソン」「90年代」「2000年以降」となっていた。って、何か偏ってないか?)
「順番は、入れた人からでいいよね?」
「そうだな。んじゃ、俺はどれでもいけるから、歌えるの少ない奴から先に入れていけ」
特撮オタクらしい食満先輩はともかく、他の先輩方も俺らに先に選ばして良い位詳しいのかよ。そんな風に
思ったのは、多分私だけではないと思うが、率先して曲を入れて場を盛り上げ始めたのは、両方の代の熱血
馬鹿達―七松先輩とハチ―で、『戦え!ウルトラマンレオ』と『ウルトラマンマックス』だった。
そしてその次は、
「伊作先輩ならコスモスのが似合うかと思ったけど、何というか、コレはコレで似合うな」
「というか、何か切なくならないか?」
「うん。全然そういうタイプの曲じゃないのにね」
まさか『ウルトラマンガイア!』のサビの「ギリギリまで〜ウルトラマンがほしい!」が、こんな切実に
聞こえるとは、流石ですよ善法寺先輩。
「おい、こら、ちょっと待て。お前ら全員何かおかしいだろ」
「しかも中途半端に古い尾浜は置いておいて、一番メジャー所が竹谷かよ」
善法寺先輩の後に、食満先輩を挟んで連続で歌った私達に、そんなツッコミが入った。ちなみに曲と順番は、
勘『地球人だよ』、雷蔵『ウルトラマンネオス』、食満先輩『ウルトラマンパワード』、兵助『Run through!
〜ワンダバ「CREW GUYS」〜』、私『Radiance〜ウルトラマンヒカリのテーマ〜』なので、確かに
まぁ、つっこまれてもおかしくは無い気がしなくもないが、とりあえず
「ハチも食満先輩の同類だから、私らもその影響で詳しいんですよ」
と答えておいた。正確には、食満先輩は戦隊ヒーローとウルトラマンと、ついでにライダー。ハチは怪獣ものが
特に詳しいんだが、最近のはだいたい一緒に見てたり曲聞かされたりしてるから、ヒーローもイケるんだよな。
とはいえ、やっぱり先輩達の方が上だと思ったのは、
「……立花先輩。今、ページ変えましたよね」
「それがどうした。カテゴリー検索では出ないだけで、歴としたウルトラマン絡みだぞ」
曲を入れている時に、立花先輩が特撮のページから戻って、曲名で検索して入れたのを見咎めたら、シレっと
した顔でそう返された。
「そうなの、はっちゃん?」
「えっと、先輩が入れたのは……ああ、うん。間違ってない。2年前にやった映画の主題歌だ、コレ」
「へぇ、そうなんだ」
「けど、この逃げって、逆に俺とか食満先輩とか、精々三郎並に詳しくないと出来ない気が……」
曲名を確認したハチが、微妙な顔をした。まぁ、そりゃそうだよな。同じV6でも『TAKE ME HIGHER』なら
ともかく、『LIGHT IN YOUR HEART』がウルトラマンの映画の主題歌だって知っている奴なんか、そうそう
居ないだろ。現に、ハチの次位に詳しい私―古いやつは勘の方が上だが―ですら判らなかったんだから。
「あのね、竹谷。僕も仙蔵も長次も留さんと幼馴染で、留さんの実家の旅館に泊ってる時に、何度も一緒に
テレビやビデオを見たり、絵本や超全集なんかを見せてもらいながら、たっぷりと解説されたし、大川に
入ってからも結構そんな感じだから、自然と詳しくなっちゃんたんだよねぇ。……でなきゃ、カラオケで
こんな縛り入れないって(笑)」
くすくす笑いながらそう解説してくれたのは、善法寺先輩だった。確かに私らもハチの影響で詳しいんだから、
不自然ではない気もするが、立花先輩の次の中在家先輩の『誓い』は、割と最近までやっていたらしい―ギリ
ギリで「ウルトラギャラクシー」とついているけどウルトラマンとは言い難い―「大怪獣バトル」の主題歌で、
どうもリアルタイムに一緒に見ていたらしいから、類友なのかもしれない。
……にしても、アノ人の声でアレは反則だろ。そんなつもりは無いだろうけど、エロ過ぎで、ハチなんか
「俺が女子なら、オチてもおかしくねぇかも」
とか呟いてやがって、兵助や勘や雷蔵まで何となく同意していた。……けど、私もちょっと解るかもしれない。
そんな破壊力抜群な感じだった。
「あ、ねぇねぇ、仙蔵、留さん。文次にコレ歌ってもらっても良い?」
「……。ふむ。少々癪だが、後輩共の前でならいっそ面白いかもしれないな」
「そうだな。たまにはアリだろ」
お2人の許可をとった善法寺先輩が、最後に残る潮江先輩に嬉々として歌わせたのは『君だけを守りたい』だった。
「ちなみにこの縛り、普段の潮江先輩は何を?」
「んー。いつもは、他のみんなが『英雄』か『ULTRA HIGH』を入れて歌わせてることが多いかな」
要は、暑苦しい曲ばっかりな訳ですか。にしても、普段のはともかく『君だけを守りたい』は、嫌そうな顔を
しながらも、よく歌ってくれたもんですね。そう言ってみたら
「入れたのが伊作だからな」
「この馬鹿は、おそらく伊作がねだれば、どれでも嫌そうな顔をしつつ歌う筈だぞ」
「だよねぇ。今度、何までアリか試してみようか」
食満先輩・立花先輩・七松先輩が口々にそうやってからかった挙句、中在家先輩まで
「……面白そうだな」
とか呟いた。
「誰がやるか!」
「えー。ダメ?」
「……」
他の先輩方の冗談は、間髪入れず否定したくせに、小首を傾げた善法寺先輩には負けかけている。……って、
何だこのやり取り。この様子だと、善法寺先輩がおねだりすれば、本当にどれでも歌うんじゃないか、この人。
とまぁそんなこんなで、11人が1曲ずつで大体1時間掛かったので、その後は好きな歌を歌ってよくなり、
先輩方が潮江先輩をイジるのは次の機会にすることにしたようだが、それでも何かとおもちゃにされていた。
誕生日に1人カラオケをしつつ考えたネタでした
前の時というのは、コレで、やっぱり潮江さんはいじられてます(笑)
ちなみにこのネタに出て来た曲が全部解る方は、仲間内以外には居ないって解ってて書きました。
それでも、もしも気になる場合は、調べてみて下さい。多分歌詞だけで結構笑えます
2010.10.18
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