2〜4年生の委員会入れ替え期間が始まって以降。どこの委員会も、案外うまくいっているように思える中。
体育委員の金吾だけは、初日からもう目が虚ろになっており、委員会から帰ってくるなり食事も摂らずに
倒れ込むように眠りに落ちてすらいた。
そして、授業中や食事中も意識が飛びかけている中、
「滝夜叉丸ってさ、意外と面倒見良くて、自慢話なしだと、教えんのもうまいんだな」
「時友先輩って、頑張り屋さんっぽいね」
などの友人達の感想が聞こえると、猛反応した。
「そうなんだよ! 滝夜叉丸先輩は、面倒見がよくて、しっかりしてて偉大だし、時友先輩だって、頑張って
いるし頼りになるんだ!!」
「どうしたの金吾?」
いきなり立ち上がり、握りこぶしで叫ぶように主張した金吾に1年は組の皆が驚いていると、今度は
ブツブツとボヤキ始めた。
「もう嫌だ。早くこんな期間終わればいいのに。7日も耐えられるわけがない」
「体育委員会って、誰が行ってるんだっけ?」
「えーと。……うわぁ、神崎先輩と、綾部先輩だ」
学級委員長の庄左ヱ門が名簿を確認して苦笑すると、他のは組面子も大いに納得し、金吾に同情した。
いけいけドンドンと塹壕を掘り進める委員長も、迷子の三之助も、普段なら滝夜叉丸がたしなめ、探し、
後輩たちの面倒まで見てくれていた。しかし喜八郎は小平太と共にどこまでも穴を掘り続け、三之助の
代わりに左門が迷子になり、その後始末やら捜索やら何やらを、すべて金吾がやらざるを得なくなって
おり、体力も気力も使い果たしてしまっているのだという。
「……。俺、中在家先輩に七松先輩を注意するよう頼んでみるし、滝夜叉丸にも伝えとく」
「私も時友先輩に伝えておくし、最悪伊作先輩に保健委員長権限で、金吾を休ませてあげられるように
お願いしてみるね」
「僕は、試しに期間短縮を学園長と交渉してくれるよう、鉢屋先輩に言ってみる」
あまりにボロボロな金吾が哀れに思えてきた面々は、自分にできる限りの手は打つと約束したが、結局
期間短縮は叶わず、上級生2人を抑えるのは難しかったが、滝夜叉丸と作兵衛から
「とりあえずつないでおけ」
と縄を託され、左門の迷子だけは多少阻止できるようになりはしたが、その時についた縄の跡は、当分の間
消えなかったという。
体育:綾部喜八郎・神崎左門
7日間の委員会交流が終わった後。ほとんどの生徒は
「アレはアレで、新鮮で有意義だったかもしれないが、これっきりで充分だ」
「いつもの面子が1番良い」
などと思い、特に体育委員の金吾はその思いが強かったが、中にはひっそりと
「あっちの方が良かった気がしなくもない」
と思った生徒も、出向してきた2〜4年生側にも、受け入れ先の上級生側にも居たとか居ないとか。
「あまり見かけない学年での委員会シャッフルをやろう」
という思い付きでのネタでした。
誰をどこに行かせるかは、実際はくじではなく作為的に決めました。
委員会によって若干偏りがあるのは、愛と書き易さの差です。
そして小中高すべてで「学級委員長」とか「クラス委員」が居た記憶がないので、
学級の仕事内容がわかりません御免なさい。
2009.11.17
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