学級兄弟
「左吉が短冊に、『お母さんがかえってきてくれますように』って書いてたけど、
三郎兄ちゃんがそういうお願いしてるの、見たこと無いと思わない?」
「ああ。僕も前に気になって訊いてみたことあるけど、『神頼みなんかせず、自力で
どうにかするに決まっているだろう?』だってさ」
5年生ズ
「毎年、作んちの笹はすげぇな」
「そりゃ父さん図工の先生だし」
「でも、作も俺らより飾り作んの上手いだろ」
「当たり前だ。お前らと比べるな」
斉藤兄妹
「……またですか」
「うん」
「何故、毎年毎年マンションに入らないような、大きな笹を買うんです、兄さん」
「だって…」
「だって何ですか。いい加減懲りたらどうです?」
「でも、やっぱり一番立派で、カッコイイのが欲しくなっちゃってさぁ」
「…来年も同じやり取りしてる。に1000円」
「ダメだ喜八郎。僕もそう思うから、賭けにならない」
図書兄妹
「兄ちゃん。『のきば』って何だか知ってる?」
「軒の端のこと。『軒』ってのは、屋根とかの出っ張ってる所とかのことらしい」
「んじゃ『すなご』は?」
「細かい砂のこと」
「ふぅん。よく知ってんな」
「どうせ、七夕の歌の歌詞の意味を、怪に訊かれたんだろ? 僕も昔三郎兄さんに訊いた
ことがあって、三郎兄さんは小さい頃母さんが話してくれたらしくて、母さんは中学の
時に父さんから習ったんだと」
※長次は中学の国語教師
火薬&生物
「兵助、兵助。今日の夕飯さ、『折角晴れなんじゃから、星でも見ながら流し素麺でも
せんか』って、雅おいちゃんから誘われたんだけど…」
「良いんじゃないか? チビ達には理科の勉強にもなるし」
「でさぁ、お前らも来ない?」
「それは、素麺だけじゃ足りないから、他に何かおかずを作れ。ってことか?」
「いや。別にそういうつもりじゃないけど、作ってくれんのか?」
「どうせ大木さんは、端からそのつもりでお前らに声掛けたんだろうしな」
作法母子
「お母さん、お姉ちゃん。聞いて聞いて。今日ね、学校ですごく褒められたんだ」
「ほぉ。それは良かったな」
「七夕の話を、先生よりも僕達の方が、沢山ちゃんと知ってたんだよ」
「ていうか、先生は全然知らないし、話すのも下手くそだったから、当たり前だけど」
「……。それ、先生には言ってないよな」
「言ったよ。『先生のお話は、解り難いしつまんない』って、兵太夫が」
「伝七も、『先生まとめるの下手』って言ったじゃん」
「2人共、明日先生に謝れよ」
「えー!」
「何で?」
「先生に失礼だからだ! …って、何笑ってるんですか、母さん!」
「いや。お前も、試験問題の誤字を指摘して抗議したり、課題のプリントに赤を入れて
突き返して、教師にケンカを売ったことがあったよなぁ。藤内」
「それは、先生の間違いなのに、そこの字をそのまま書き出した子を不正解にしたのは
おかしいし、アノ間違った百人一首を覚えても、意味がないじゃないですか!」
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