セブンが、レイを連れ帰った日の話です。
レイを抱いて警備隊に戻ったセブンが、まず最初に遭遇したのは……
「……。今度は、どこのどなたが相手? 見たところ、3歳前後だよね。とすると、3〜4年前だから……」
「誤解だ、マン! この子は、ヒュウガさんの所のレイ! お前も会ったことあるだろ!?」
怪訝そうな目を向けてから逆算し始めたマンは、唯一ゼロの事もその母親についても知っていて、仕事上で
ペンドラゴン一家とも面識があったりします。
「え? レイ? ああ。本当だ。でも、何でセブンが連れているの?」
「素姓がバレて上に目をつけられたそうで、当分…どれ位の間になるかは分からないが、俺が面倒を看ることに
なったんだ」
その辺りの事情は、こちらをご覧ください。
「ふーん。多少は手伝うけど、まぁ頑張って」
そっけない言い方ではありましたが、結果的に一番―限りなく母親代わりレベルで―力になってくれたのは、マン
でした。しかしこの時の「頑張って」には、暗に「ゼロの説得と、周囲への説明を」という意味が込められており、
そちらの助力は一切してくれませんでした(笑)
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「可愛いー。セブン兄さんのお子さんですか?」
「見た所、2〜3歳程度か」
マンの次に遭遇したのは、メビウスとヒカリでした。
「男の子ですか? 女の子ですか? 名前は何ていうんですか?」
「レイっていって、一応男だけど、俺の子じゃなくて……」
末っ子で周囲も基本的に年上ばかりのメビウスは、自分より遥かに小さな子供が珍しいのか、興味津津で
レイを見ていました。
「セブン兄さんとはあまり似て無いから、お母さん似かなぁ」
「そうだな」
「いや、だから、事情があって引き取っただけで……」
「こんにちはー、レイくん。僕は、お父さんの弟のメビウスだよ」
「めび?」
「うん。そう。で、こっちの人はヒカリ」
「ひかり」
「そうだ。大人しそうだが、この頃のお前よりは、うまく話せるようだな、メビウス」
「そう?」
楽しそうなメビウスの横で、どうでも良さそうにしていたヒカリは、メビウスがレイと同じ位の頃から知っており、
幼児期のメビウスは―今と殆ど変わらない―いつもご機嫌でよくおしゃべりをする子でしたが、舌足らずで兄達の
名前なども上手く呼べなかったことも覚えていました。
「って、おい! 聞けよお前ら!」
和気あいあいと自分そっちのけで話している2人に、セブンがツッコミを入れているのを、通りすがりに目撃し、
「セブン兄に隠し子発覚!?」
「さっそく、みんなにお知らせしないとですね☆」
と噂を広めまくったのは、エースとタロウでした。そして、レイをひとまず自室に連れて行き昼寝をさせ、その間に
自室で片付けられる書類を取りに行くと、噂を聞いたジャックから
「……セブン兄さん。あなたに子供がいるのが判明したと、エース達が触れまわっていたんですが」
と訊かれました。
「え。あ。いや、その……」
「まだ物心ついていない位の幼児だそうですが、相手の方は……」
「ああ、そっちか」
「何の事ですか?」
まだ、ゼロが自分の息子であることを皆に話す前だったため、セブンはゼロの事がバレたかと解釈し、内心大いに
焦ったようでした。しかしレイの方だと分かり、ホッと一息つくと、簡潔に説明して誤解を解くことにしました。
「何でも無い。……レイの事なら、知人からしばらく預かることになっただけで、俺の子ではないから」
「そうですか。で、『そっち』ということは、他にもまだ心当たりが?」
「……ノーコメント」
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やんわりとした笑顔で問い詰めようとするジャックからどうにか逃れたセブンは、同じく噂を聞いたらしきゾフィーや
父にも話しかけられましたが、思い切り無視して自室に戻りました。そして流布した噂は、マンにも手伝ってもらって
訂正して回りましたが、数日後に
「やしゃご(孫の孫)の顔を見せてもらいに来たぞ。まだ幼いようだが、どんな子だ」
と訪ねて来たキングに、「どれだけ情報遅いんだよ」と思いつつ説明するのが一番面倒臭く、その上噂を否定した
後も、父やキングが「じーじ」だの「ひぃお祖父ちゃん」だの呼ばせようとしたり、あれこれ物を買ってくれたり
遊んでくれたりと甘やかそうとするのを、どこまで放っておくかが、結構悩み所だったりするようです。
大分前に、書くと姉さん達に約束した物
キング爺は、母の祖父で兄弟の曾祖父。という設定ってことで
2010.7.29
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