並行世界に飛ばされた俺達UFZの、勝手に変わっていた地球人姿は、自動的にタイガになっていた俺以外は、大体
精神年齢と同じ位で、20代前半〜30前後と2歳前ってなところで、グレンが一番上っぽく見えることに驚いたが、
我夢やダイゴに言わすと
「アスカ系の、永遠のガキ大将だけど時に頼れる兄貴。って感じで妥当なんじゃないの」
「ジャンも、妙に言動が古めかしくて頭でっかちな若い子は居るから、合ってると思うよ」
とのことで、グレンこと大地はガッチリ系で豪快なアラサー。ジャンこと直人はちょっと神経質そうな20代半ば〜
後半の細マッチョ。ナイトこと京児は軽くナル入った涼しげな細面のイケメンで、20代前半。ナインこと直也は
直人似でちょっと目力強めで表情の変わらない2歳児てな感じになっているけど、あくまでも見た目が変わっただけで、
中身というか記憶というかはそのままだと判ったのは、ナインを保育所に預け始めた初日の迎えの時だった。
他の迎え待ちの園児に混じりながらも、1人で積み木で遊んでいた直也は、迎えに来た直人の前に手にしていた積み木を
いくつか並べたんで、まだ遊びたいのかと思ったが、よく見るとその積み木にはひらがなが一文字ずつ書いてあり、
綺麗に一列に並べられた積み木を順に読むと「おかえり にいさん」になっていた上、驚いてうっかり『ナイン』と
呼んだら「なおや」と積み木を並べて訂正したらしい。その話を聞かされた時、俺とナイトは半信半疑で、グレンは
「勘違いか偶然だろ。ゼロちゃんの兄バカ感染ったかぁ、焼き鳥」
と全く信じなかったが、我夢が
「使ってないのあるから、これで試してみたら?」
と貸してくれたノートパソコンの前に座らせて、頭の中は変わってないのか訊いたら、
『話せないが解る 検索も出来る』
と、小さな手でたどたどしく打つのには長文は面倒なのか、簡潔に、だけどキッチリ変換までして答えた上、直人も
『私も、今まで通り脳内でデータの検索が可能だが、通常の地球人には不可能なのだったな』
と付け加え、そういや確かに人間態や関係者情報を検索してたよな。と俺らにも思い当たる節があったので、納得
せざるを得なかった。
とはいえ、自我がハッキリしていて、普段の姿はデカイし検索すれば大抵のことは解るけど、基本は2歳程度なのは
事実なんで、折角ならこの機にリアル幼児体験させてやるのも悪くないよな。ということで一致したんで、手掛かり
探しも、万一戦闘することになった場合も、俺達4人でやることにして直也は年相応に扱うことにしたから、
ダイゴ達には一応話しとくけど、他の奴の前では言葉を組み立てたり書いたりするなよ。と言い聞かせたら、加減が
わかんなかったらしく、言葉を発さな過ぎて、表情無いのもあいまって発達障害を疑われかけたが、ツバサやソラの
迎えに来たダイゴやムサシが上手いこと誤魔化してくれたり、園長の銀河先生の方針が「みんな違ってみんな良い」
らしいし、直人は一応兄貴で、俺はレイで慣れてるし京児も勘は良い方なんで、無表情の中にも感情は読み取れたから
問題無いだろう。ってことになった 。
そんなある日。相変わらず表情は変わっていないが、空気なんざ欠片も読めない大地や、下宿先の大家の大隊長と
銀隊長…じゃなくて、東夫妻。ですら気付く位に、直也がご機嫌で、しかもこの日の迎えの当番だった京児曰く、
「ボランティアの高校生の1人に、とても懐いていたと、コノミ先生から伺いました」
とのことで、一体何があったのかパソコンの前に座らせて本人に訊いてみたら、たどたどしい手付きで
『友也が園に来た』
と打ち、京児が保育士の先生から聞いた話なんかと合わすと、どうも校外学習で保育所にボランティアに来た
高校生が、ギンガこと礼堂ヒカルとその友達で、その中にナインの操縦主の一条寺友也も居たらしい。
更に、その話をー直也本人から聞いたことは伏せてー、「なんか、ボランティアの高校生にすげぇ懐いたらしくて」と
食後の茶飲み話として東さん達に話したら、一緒に茶をすすっていた光太郎が、
「ああ。『友也がちっちゃい子に懐かれてたのが珍しくて、困惑してたけど案外満更でもなさげだった』ってメール
来てたなぁ」
と呟いたんで、誰からのメールなのか訊いたら、
「その、直也くんのお気に入りの子の友達の、礼堂ヒカルって子が、冒険家志望らしくてね。僕のこと師匠って慕って
くれてて、たまにメールとかでやり取りしてるんだ」
とのことで、この世界でもちゃんと繋がりがあることに内心驚いていたら、他にも美鈴の修行先兼バイト先の
和菓子屋の、3日に一度はおはぎを買いに来る常連客が郷だとか、健太の憧れのカメラマンは姫矢とかいう
情報も、ヒカル経由で聞いていると話してくれ、更に後からダイゴからも、レナの勤め先のラジオ局の新人
アイドル発掘番組に千草が出たことある筈だと聞いた。
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