1.かつての風景
「はい。ジョージ、テッペイくん、ミライくんとサコミズ隊長に、これはコノミちゃんね。あと、
ミサキさんやとりぴー達は後で顔を出すだろうから、その時渡せばいいかしらね」
「……おい、マリナ」
「何よリュウ」
「何で俺の分だけ無ぇんだよ」
「はぁ、何。欲しいの?」
「別に、そういう訳じゃねぇけど、俺1人だけハブる理由を訊いてんだよ」
「だって、アンタにはあげるだけムダな気がするんだもの。……ジョージやテッペイくんは、かなり
良いお返しが期待できるし、さこっちやミライくんも律義で真面目な感じで、とりぴー達も本人は
ともかく、奥さんがその辺はしっかりしてそうだけど、アンタにその手のことが期待出来るわけ
ないじゃない」
「んだとぉ」
「ちなみに、値段じゃなくてセンスの話だから、チャラ男とお坊ちゃんと奥さん任せは、期待してるの」
「──みたいなことがあったんですけど、皆さんの所はどんな感じでしたか?」
「俺んとこの場合、リョウは個別じゃなくて『勝手にとって』とか言って、徳用袋のを器に入れて
ドンっ。みたいな感じで、マイはお返しが高くつくんだよなぁ」
「あー、解る解る。うちのアッコやジョジーも、マイちゃんと似た感じ」
「……うちは、隊長もレナもマユミちゃんも、具体的な要求は無いのが、センスを試されているようで
何となく怖かった。特に隊長の『楽しみにしてるわ』は、リーダー以外には試練でしか無いって、
毎年みんなで悩んでいたし」
「イルマ参謀の『楽しみにしてるわ』かぁ。そりゃ、確かに試練かもな」
「所で、職場の義理チョコじゃない、藤宮と玲子さんはどんな感じだったの??」
「……そんなことを、気安く明かす義理は無い」
「まぁ、そりゃそうだけどさぁ。……じゃあ、代わりにダイゴとレナさんの話でもいいや」
「とりあえず、GUTS時代は今話した通りで、他と隊員とほとんど同じ扱いだったよ」
「その後は?」
「僕も、そこまで話す義理は無いよ」
オマケのガールズトーク
2.お約束?
基本的にバレンタインデーなどに興味は無く、甘い物もあまり好きでない、無愛想なオッサンとて、
「犯罪並に年下」といわれている可愛い恋人に、満面の笑みを浮かべて包みを差し出され、しかも
その中身がハート形の茶色い物体だったら、当然嬉しい。
しかしながら、表面上は「仕方ないからもらってやる」といった態でそれを受け取り、一口齧った途端。
ヒカリは吐き気を催しそうになった。
「……メビウス、コレは何だ」
「え? カレールーだよ」
「そうか。誰のい――提案だ」
ニコニコ笑って答えたメビウスは、「超」のつくカレー好きではあるが、ご丁寧にルーをハートに削って
ラッピングするというのは、流石に本人の発想では無いような気がしたヒカリが、「入れ知恵」と言い
かけたのを堪え「提案」と言い直して問い返すと、メビウスはより一層ニコッと笑い「ガイアさんだよ」と
答えた。
「ヒカリ、あんまり甘いもの好きじゃないから、チョコもらっても迷惑そうにしてる事が多い。って
ゾフィー兄さんに聞いたから、相談してみたら『だったら、カレールーをハート型にして、カレー
作れば』って教えてもらったんだ」
目を輝かせて経緯を話すメビウスに、
(ひとまず、ゾフィーの野郎は後でしばく)
と思いはしたが、ガイアには何となく文句が言い難いため、ヒカリはやりきれない気分になったのだった。
オマケ
「……ガイア。いい加減、アノ人達をおもちゃにするのは止めなさい」
「はーい。ティガママ」
「って、誰がお前の母親だ!」
「えー。だって、今の言い方、完全に『子供をたしなめるお母さん』だったもん」
日記もどきの小ネタログ
思い付くままに書いたら、人選に偏りが(笑)
戻