「──それで、一応本当は用意してあったんで、『期待してあげるから、精々悩みなさいよ』って
	 言ってあげたんです。なのに、そのチョコを見て、『小せぇし少ねぇな』とか言ったんですよ、
	 あの馬鹿は。全員に同じのを買ってきたけど、この間の休みに、すごく吟味して選んだゴディバの
	 限定のやつなのに!」

	「男の人なんて、案外そんなものよ。……他の人の分とは違う、少し高価いものを用意したのに、
	 バレンタインデーなことにすら気付かず、『糖分補給にちょうど良かった』と言って、一瞬で
	 流し込むように食べられた上、『やっぱり甘い物は苦手だな』なんて呟かれた日には……!」

	「ミサキさん、そんな朴念仁と付き合ってたんですか!?」

	「い、いえ。違うの。私じゃなくて、その……アサミ! そう。アサミから聞いた話よ」

	「……そうですか。フジサワ博士の場合、その場でキレそうな気もしますけど」

	「確かに、そうね。でも、付き合っていたどころか、想いを伝えてさえもいなくて、年上でもあったから……」

	(……。絶対に、フジサワ博士じゃなくて、ミサキさん自身の話よねぇ、コレ。でも、だとしたら相手は……)

	「……この話、アサミにもサコミズさんにもしないでもらえるかしら?」

	「解りました。他のGUYSメンバーにも言わないんで、安心して下さい」
	(……語るに落ちてます、ミサキさん。それにしても、あのミサキさんがここまで動揺するなんて、本当に
	 相手は誰なのかしらね)

	「ええ。お願いね」

	「その代わり、1つ教えてください。その後、その相手の人の事は、諦めたんですか?」

	「いいえ。ただ、『二度とチョコを贈るのはやめよう』とは思ったけれど」




1個くらいは甘いの書きたいなぁ。と思っていたら、ふと降りてきたもの お相手については、こちらをどうぞ(笑) 2011.2.14