「残念だったねぇ、ジャスティス。お疲れ様〜」
	「ああ、うん。実力はあちらの方が上だったのだ。仕方が無い」
	「そんなことないよぉ。実力的には五分で、時の運。ってやつだよ〜」
	「そう言ってもらえると救われる。コスモスは次だったな。頑張ってくれ」
	「うん。僕の方も〜、相手がダイナだから〜、どうなるかわかんないんだよねぇ」

	救護テントでセクハラ騒ぎが起きている最中。そんな風にジャスティスの健闘を称え激励され返したコスモスの
	対戦相手であるダイナは

	「頑張って下さいね、ダイナさん。ダイナさんの為に、綺麗所を揃えてきましたから」
	「……『綺麗所』って、全員男に見えんのは気の所為か、悟?」
	「もちろん男です。僕を中心にした、『イケメン応援団』ですからね」
	「そっか。良いけどな。……ハネジローは?」
	「向こうで、リドリアス達に遊んでもらっていますよ」

	といった感じで、ナルシストに育ったラセスタ星人の青年を相手に、ちょっとげんなりしていた。
	それでも、試合前インタビューでは、いつも通り元気いっぱいに

	「サーガで一緒に戦ってっから、ちょっとは傾向解ってるつもりだ。負けないからな、コスモス!」
	「こちらこそぉ。僕も〜、手加減はしないからねぇ」

	と、名勝負を期待させる答えをしていた。


	そんな2人の応援は、リドリアスやハネジローを中心とする怪獣が何か多く、

	「何故我らに招待状を送らなかったのだウルトラマンダイナ! おかげで、自腹を切った所為で随分な
	 出費だったではないか!!」
	「そうよぉ。ダダちゃんのお友達のお手伝いで儲けさせてもらってるから、まぁいいけど」
	「やぁだカマちゃん。このオッサンは、友達なんかじゃないわよぉ」
	「ふぉふぉふぉ」
	「『もう1人はどうした』? ウドチェンコなら、カネゴンのところでバイトをしている」

	という、漫才染みた野次も混じっていた。


	そして肝心の試合の方は、ルナモードのコスモスは流石に避けるのが上手く、蟷螂拳染みた動きも多かったからか
	中々ダイナの攻撃は当たらず、ダイナはティガなどと違ってタイプチェンジは1回の戦闘につき一度限りなので、
	安易にタイプチェンジする訳にいかず……。と、ガイアvsメビウス戦並に中々決着がつかなかった。
	けれど、上手いことウルトラフォークで場外に落とした隙にミラクルタイプにチェンジし、ウルトラサイキックで
	宙に浮かし10カウントを狙ったが、すばやくコロナモードになったコスモスのサンダースマッシュに打たれ気絶
	している間に10カウントを取られる。という詰めの甘い負け方を期した。

	その負け方に関し、
	「格好悪いですよダイナさん。折角僕達が応援して差し上げたのに」
	な悟青年はともかく、
	「パムー(やっぱりダイナ頭悪いねぇ)」
	なハネジロー(翻訳レイ)や、
	「僕に言えた義理じゃないだろうけど、ダイナってばダサっ」
	「気絶で10カウントか」
	等々鼻で笑ってきたガイアやアグルにはムカついたが、反論の余地はなく、
	「正々堂々、お互いの実力を出しあい勝ちあがった奴は居ないのか」
	という、ティガの呟きが一番耳に痛かった。

	更に、
	「折角、知人のよしみでお前に賭けてやったのに、大損じゃないか!」
	とのミジー星人の苦情はスルーしたが、自分でも「俺ってばちょーファインプレー」と言えるような勝負を
	したかった。という悔いが、ダイナの中に残っていなくもなかったという。

	ただ、この2人もサーガとして面識があるので試合前に「遊んでくれる?」と来たハイパーゼットンに、ゼロの
	惨状を見ているのに2人共「おう! 後でな」「試合が終わってからね〜」と返していたので、どうするのかと
	周囲が思っていると、負けた悔しさと恰好悪い負け方だったことを振り切ったダイナは、
	「ここじゃなくて、外行こうぜ」
	と、他の怪獣数匹にも声を掛け連れ出すと
	
	「よーし。待たせたなハイパーゼットン!」

	言うなり、大きく振りかぶり、何か投げた。

	「取ってこい!」

	何を? と言いたげなハイパーゼットンに、見本を見せるように「パムー」と言いながら飛んで行き、ボールを
	くわえて戻ってきたハネジローを撫でてやると、またボールを投げ、今度はリドリアスがそれを取りに行って
	戻ってきてほめられ……を何度か繰り返す内に、ハイパーゼットンにも彼らの行動の意味が解ったようだった。
	しかも、ダイナの投げたボールを追って取ってくるだけでなく、「自分もなげるー」とばかりに一兆度の火球を
	打ち出した時には、流石にヤバイかと思われたが、ダイナはどこからか取り出したバットで思いっきり打ち返し、
	「よっしゃ、ホームラン!」
	とガッツポーズを決めた。

	そんな感じでしばらく全力でボール投げやら野球もどきをしたことで、ハイパーゼットンは充分満足した様子な
	上に、ついでに一緒に付いて来ていたレイやゴモラにもキャッチボールや野球のルールを簡単に教えてやった
	こともあって、ケイト姉さん的にも「コレはコレで悪くない」との評価をもらえた。そんな一連の流れを目の
	当たりにした周囲は、

	「そうか。こういう手がアリだったか」
	「ダイナにしてはというか、ダイナならではで、やるじゃん」

	と大いに感心したが、身内からは

	「多分、特に何も考えて無くて、結果オーライなだけだよね」
	「もしくは、コスモスの案の可能性もあるな」
	「一応、相手が幼児だって認識はあるみたいだけどね」

	との、割と辛いコメントが返ってきたが、久々に目一杯野球的な事が出来た上、周りにも被害が出なかったので、
	この選択に関しては「ちょーファインプレー」と自己評価したようだった。




	一回戦 第6試合
	ダイナvsコスモス 勝者コスモス

	NEXT vs80

next


どうも、私ゃ細かい戦闘描写を書くのが苦手のようです。 ということで、またも簡潔な出来でスイマセン。 ちなみに、ラセスタ星人の悟青年=S本H海くんてことで 2012.10.13 オマケ追加