その1 斉藤兄妹
「―はい。中在家でございます」
『あ、滝ちゃん? オレー。タカ丸ー』
「ああ、兄さん。…どうでした? クリスマス会は成功しましたか?」
『大成功だったよー。滝ちゃんのレシピも、とっても
評判良かったから、その報告とお礼の電話なんだぁ』
「そうですか。それは何よりです」
『特にねぇ、お隣りのご飯担当の兵助くんが、すごく感心してたよー』
「…それは、ずいぶんと珍しいタイプの少年ですね」
『うん。留さんと気が合いそうな子だよ。あと、文句言いながらも
面倒見良いとこは、滝ちゃんとも似てるかも』
「誰の所為で、こんなに口煩くなったと思っているんですか!」
『えー。オレの所為? 喜八郎じゃないの??』
「兄さんも三木もきぃも、全員です!」
後日談的な。
頼りにならないお兄ちゃんは、以前
「オレオレ詐欺だと思われたくなかったら、名乗って下さい!」
としっかり者の妹さんから説教された模様です。
その2 高1お兄ちゃんs
「ハチ。そういえばお前、彼女はどうした?」
「…フラれた」
「そうか。じゃあ、バイト入れなかったのは?」
「彼女出来たの騒ぎ過ぎて、今更シフト入れらんなかった」
「……。お前にも、そんな繊細な所あったのか」
「それは、流石に酷くないか兵助?」
「そうか? お前と虎は、何があってもあんまり気にしない、
ザルのような神経の持ち主だと思ってたんだけど」
(ちなみに、フラれた原因の半分くらいはお前なんだけどな)
「あ。そうだ。コレやる」
「何? …手袋?」
「伊助と三郎次の、小さくなったセーターほどいて編み直した
ついでに作った。前使ってたのはもうボロボロだし小さいから
捨てたけど、バイトの帰りとか寒いって言ってただろ?」
「あんがと。にしても、5本指で模様編みって、めんどくなかったか?」
「まぁちょっと。でも面白かったし、良い練習になったから」
「誰の分の!?」
「耳の近くで大声出すなよ。ウチの人間の分に決まってるだろ」
「え。あ、ああ。そうだよな」
ハチの部屋で、弟達が呼びに来るのを待ってる時。
前半部の兵助さんは、そこらへんにあった雑誌を読みながら、
はっちゃんの方を見もしないで、てきとーにしゃべっております。
編み物はきっと最近のマイブーム。女子に混じって教えあいながら
編んでいたらいいと思います。そして、また誤解されてください。
ハチが彼女にフラれたのは、何かにつけて無意識の内に兵助と比較していた。
というのと、彼女よりもバイトを優先したのが主な原因。
ついでに弟達の子守や、弁当に関する会話が周囲の誤解を呼んでいたりも。
詳しくは、その内書く予定です。
12/24〜25限定でお持ち帰り自由でした
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