「…平、ソレは何だ?」
幼児が拾われた日の翌日。午前9時前後。いつも通りに授業を受けている滝夜叉丸の前で、担当教師は
目一杯怪訝そうな顔をしていた。
「れっきとした人間の子供です。”ソレ”などと言わないで下さい」
それもそのはずで、滝夜叉丸と机の間(と言うより、滝夜叉丸の膝の上)には、昨日の幼児が大人しく
座っていたからだった。
「あー、じゃあ、その子供はどうした?」
「昨夕、若が拾ってきました。現在は身元を調べている最中です」
あまりにも当然のことのように返す滝夜叉丸に、あっけに取られながらも、教師は更に問答を続けることにした。
「わざわざお前が連れている理由は?」
「他の者に預けようとすると、グズるもので」
試しに。と、教師に手渡された途端、それまで大人しく抱かれていた幼児は火がついたように泣き出した。
「…別に、家の事情ってことで休んでも、一向に構わんだろうに」
大慌てで幼児を返した教師が呟けば、
「外に連れ出すことで、何某かの目撃情報でもあれば。と思いまして」
何故か妙になれた手つきで幼児をあやしながら滝夜叉丸は、しれっと返してきた。
「……。そうか。まぁ、好きにしろ」
その様子に、教師はそれ以上の追求を諦め、授業を再開した。
担当教師は、特に誰でもないイメージで
滝さんが一人っ子なのに妙に子守慣れしている理由は、その内小出しに書いていく(かも)です。
高校(商業)までは、バスか自転車がほとんど。滝はバス通学です。
2008.6.7
帰宅後に続く
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