「流石にスカートは穿きたくありませんので、こちらのスーツにさせていただきます」
しばし悩んでから、「渋々」といった様子でスーツを選ぶと、滝夜叉丸は他を片付けようとした。
けれど、何故か少し考えるような顔をした八左ヱ門が、
「試しに、一回着てみたほうがいいかも。お袋と滝ちゃんだと、体型違うし」
と言い出し、小平太もそれに賛同したため、仕方なく着替えさせられた。


「う〜ん。見事に『着られてる』って感じだな」
「でも、背はあまり違いませんよね?」
「姉ちゃんって、昔っから割と肉付きいい方だったみたいだから」
「ああ。姐さん薄いっすもんね」
「当たり前だ! 胸やら尻があってたまるか!」

バストやヒップはともかくとして、ウエストも肩幅すらも負けている滝夜叉丸には、
八左ヱ門の母のスーツはブカブカ過ぎて不恰好でしかなかった。
そのため、もう一度選び直しということになった。



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