三人の会話が聞こえてしまった直後。俺は、保健室の左近を訪ねた。 「左近、頼みがあるんだけど良いか?」 「何ですか、浦風先輩?」 口調の違いで、「三波藤菜」としてなのか「浦風藤内」としてなのかを見抜いてくれると、話が早くて助かる。 そう思いながら俺が左近に頼んだのは、時友へのメール。 To しろ Sub 藤さんから 放課後に、神崎・次屋 ・富松がそっちに探り 入れに行くみたいだか ら、誤魔化しよろしく とのこと 文面はこんな感じで、時友と金吾は、俺がバッチリ前世のことを覚えていて、その上で開き直っていることも、 孫兵とのことも知っている。だからあの三人の読みは正しいわけだが、直接俺本人がバラさないとややこしい こともあるので、黙っていてもらえると助かる。そんな意味を込めたメールへの時友からの返信は From しろ Sub 了解 金吾にも伝えといた。 浦風先輩が前世のこと を覚えてるのを言わな きゃいいんだよね? だった。時友も、一見ぼんやりしているようで意外と鋭いから、話が早いんだよな。 そんな訳で、決戦は来月の社会科見学。行き先は……