side S(2)
俺と、いつもの4人が親しくなったきっかけは、ナルとハチに関しては2〜3歳の頃のことなので
流石に覚えていないが、幼児期のことなので深い理由は特に必要が無い気がするし、勘は気付いたら
当たり前のように混じっていたが、歩の塾仲間で同じクラスだったので解らなくもない。
けれど歩に関しては、小1時に4人共同じクラスだったのは間違いないが、何故親しくなったのか、
一切記憶にない。
何しろ、「久々知」と「蜂屋」「不破」「竹谷」は出席番号も遠いし、家も反対方向で、低学年の頃は
誰かと係が同じだったわけでもなかった筈だから、接点は殆ど無い。
にも関わらず、
「好きなお友達と4人の班を作りましょうね」
なんて時には、必ずナルかハチが歩を引っ張って来ていたような覚えがあり、クラス替えでバラバラに
なっても、しょっちゅうお互いのクラスを行き来し、児童会役員には当たり前のように4人で立候補した。
こうして思い返してみると、きっかけはナルやハチで、何故か歩に興味を持ったアイツらが近付いて、
俺は2人とつるんでいたから、成り行きで親しくなったという所か。
けど、何でアイツらは歩と友達になろうとしたんだ? 俺が言うのも何だが、歩は小1の時点で既に
独特の空気を持つ豆腐娘で、ナルともハチとも共通点は無いし、趣味が合う訳でもないと思うんだが……
そして―コレは俺自身にも言えることだが―、歩はいきなり「仲良くしてね」なんて近付いてきた奴と
友達になるような性格はしていないし、女子特有の群れ方も苦手なタイプの筈なのに、俺を含む3人の
ことは、あっさり受け容れたような覚えがあるのも謎の1つだ。
その辺りのことに関して、真意を訊ねてみたこともあるが、ナルは
「だって、友達になりたかったんだもん」
と、悩みグセよりも大雑把が勝ったことが解るが、答えになっていない答えを返し、ハチの奴もそれに
賛同していた。
そして歩も、
「そういえば、何でだろう。何か当たり前のような気がしてたんだけど」
などと首を傾げていたが、俺に訊き返されても解る訳無いだろう。
とはいえ、俺も時々、今の5人で居ることが当然のような気がすることが、無いことも無いんだけどな。
真意はお解りでしょうが、一応はっちゃんサイドに続く予定です
2011.10.8
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