とある星人に異次元に飛ばされた俺らUFZの、元の次元への帰り方なり元凶の星人が見付けるまでの、一時的な
身の振り方が決まる、少し前に時間を戻して。

親父達の所に挨拶とバイトの相談に向かう途中で、集団下校中の小学生の集団に行き会った。
そいつらの中で1番小せぇ、背負ってるカバンーランドセルとかいうらしいーに黄色いカバーのかかった女子が、
ダイゴに向かって「パパ?」と呼び掛けた。
「ああ、ヒカリ。そうか。もうそんな時間なんだ」
「もしや、あのお嬢さんはダイゴさんの?」
「そうそう。娘のヒカリちゃん」
知り合いー俺らーの案内をしてる最中だから一緒には帰れないけど、夕方までには帰るだとか、気を付けて
帰るようにだとか娘のヒカリと話しているダイゴをよそに、俺らは他の小学生に目を奪われていた。
「…ナオ?」
「えっと、そうですけど、おじさん達誰…ですか?」
『お、おじさん……』
ヒカリと一緒に下校していた小学生達の中で、1番背が高くて、多分1番年上の、クセ毛っつうか天パの男子は、
俺らが知っている姿より少し成長してはいるが、俺が一時的に身体を借りた相手ーランーの弟で、ジャンを
ジャンバードからジャンボットに変形させて戦った、あのナオに違いなかった。
「どうかしたの、おじさん?」
『いや、何でもない。気にしないでくれ』
「この人達の知ってる子にも、『ナオ』って名前で君にそっくりな子が居るから驚いちゃったみたいなんだ。
 引き止めてしまってごめんね。気を付けて帰ってね」
ダイゴにフォローされ、小学生達を見送りながらも、顔が若干引きつっていて、どう見ても大丈夫じゃなさげな
ジャンが、何にショックを覚えたか解る。というか、「おじさん達」ってことは、俺ら全員まとめてオッサン
として認識されたってことだよな。確かに、タイガは結構良い年な気がしなくもないけど、それでもまだ
「おじさん」て程じゃ……。
と、俺も一緒になってショックを受けていると、アスカとダイゴから
「まぁ、小学生から見りゃ、アラサーも三十路半ばも同じようなもんだからなぁ」
「特に、自分の親と同じ位だと、多少若かったとしても、もれなくおじさんおばさんで、ナオくんのお母さんは、
 僕らとほぼ同い年らしいからね」
と言われたが、ダイゴ達と同じ位でナオはともかくランの親って、相当若いというか、有り得んのか? あ、
もしかして、この世界にはランは居ねぇとか?
「いや。この世界のナオくんにも、少し年の離れたお兄さんが居て、確か『ラン』って名前だった筈だよ。ただし、
 本当は従兄弟か何からしいけど」
「そうなのですか。お詳しいですね」
「てか、詳し過ぎねぇか? 兄貴が居ることまでならともかく、何で実の兄弟じゃねぇことまで知ってんだよ」
ダイゴの説明に突っ込みを入れたのはグレンだけど、俺も同感。何でそこまで詳しいんだよ。
「レナと、ナオくんのお母さんの凪さんとが仲良くて、色々聞いているそうなんだ」
年も近くて、お互い割と気が強い所なんかが似ていて、学校関係の当番なんかで一緒になることが多かった辺りから
意気投合したらしい。
そんな説明を聞きながら歩いている最中。すれ違いざまに、お互い頭下げてダイゴと挨拶しあった通りすがりの
女性が、なんか見たことある気がしていたら、アスカから
「今の、タケルのお母さんな。さっきの下校班に、タケルも居たの気付いてなかっただろ」
と教えられた。それを聞いた時ーナオのお袋の名前を聞いた時もだったがー、何故か少しだけ胸がモヤっとした
というか、チクリと痛んだような気がした。その理由について、
「多分、ノアの神と繋がってるからだと思います。その2人のお母さんは、それぞれ適応者(デュナミスト)と、
 適応者の恋人さんでしたから」
と後から解説してくれたのは、ミライのダチやレイの同僚の怪獣オタク共の同好の志だとかいう、ナオ達とは違う
小学校に通う小学生のガキで、
「ハンドルネームは『ボーイ』です☆」
と名乗られただけで、全てが納得出来てしまった。
ついでに、ダイゴからタケルの親父は山岳救助隊員だと教えられた時に、何かホッとしたというか腑に落ちた錯覚を
覚えたのも、ノアとリンクしてるからだろうと、ボーイは言っていた。 





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