廊下で会計委員の1年生に呼び止められ、会計室に連れて来られた伊作は、文次郎につかつかと近寄って
	行き、コツンと己の額を文次郎の額に当てた。

	「あー、やっぱり熱があるね。もう、駄目じゃないか。調子が悪いと思ったら、すぐに医務室か、それが
	 嫌ならせめて僕の所に来てくれないと」

	周りの会計委員の後輩達が唖然としている中、伊作は全く動じずに説教を始めた。

	「この所急に寒くなったんだから、いつも以上に体調には気をつけるよう、僕は言ったよね?
	 それなのに、風邪を引いた挙句後輩達を怯えさせるなんて、上級生としてどうかと思うよ」

	そんな事を言いつつ、伊作は文次郎を肩に担ぎあげた。すると流石に文次郎も文句を言おうとしたが、

	「じゃあ、お姫さま抱っこがいいの? 嫌でしょ? だったら文句は言わないの。あと、せめて熱が
	 下がるまでは、委員会も鍛錬も禁止だからね!」

	等々、有無を言わさぬ態度で言い聞かせながら医務室へ向かう伊作の姿に、


	「善法寺先輩って、意外と力あるんだ」

	などというズレた反応しか出来ないほど、後輩達は驚いたとか。




風邪っぴきでキモイ潮江さんが書きたかっただけの話ですが、あまりキモくならなかった…… 文伊なのか、伊作は誰に対してもこんななのかは、ご自由にどうぞ 他の6年の対応は 仙蔵 長次 小平太 留三郎 2009.10.17