睦月―正月	図書委員会


	「こうやって皆で集まってお正月っていうのも、悪く無いね」
	「一年は組は補修のせいで大概休みは学校にいるよな。きり丸、補修にいかなくていいのか」
	「能勢先輩、いくらは組が成績悪くて授業がつぶれてばかりで補修の回数券もってるからって、正月にまで
	 補修はしないっすよ。…特別授業はありますけどね」
	「だからさっき乱太郎が呼びにきたの?」
	「遅れるっては伝えたから大丈夫だけど、正月から授業なんて滅入るぜ」
	「それをいうなら、二年生だってこないだの学園長の思いつきの行事のせいで授業が遅れたから休みが減ったんだぞ」
	「ろ組もいつもより早く冬休みが終わります…」
	「五年生も、委員会活動で遅れた分を返上するから特別講習があるけど…」
	ここでお互いの状況を省みた結果、怪士丸が結論づけた。
	「もうどこのクラスも学年も、一年は組のことを笑えませんね」
	「いや元を正せばは組が変な事件に巻き込まれるせいで」
	「それをいうなら、年寄りの冷や水の学園長先生の迷惑な思いつきや空気読まない気まぐれで」
	久作ときり丸の言い合いが始まりそうになったとき、席を外していた長次が戻ってきて、なにか呟いた。
	「………学園長先生が…お年玉をかけた…委員会対抗戦を開くと…」
	「お年玉!? よっしゃあ、久作先輩、頑張っていきましょー!!」
	「お前、今の今まで学園長先生のことけなしてたくせに…」
	まぁまぁととりなす雷蔵は、昆布巻を食べ続けてる怪士丸を久作に任せて、お重をかたしながら長次にそっと、
	「学園長先生に先こされちゃいそうですね、お年玉」
	「問題ない…きり丸や怪士丸たちが喜ぶなら…」
	こっそり可愛らしいポチ袋まで購入してきり丸達へのお年玉を用意していた委員長を知っているから、
	「じゃあ、お年玉争奪戦も、頑張りましょう」
	「…ああ…」
	手加減なしで、と笑った二人は、下級生と手をつないで校庭に向かっていった。




睦月その2 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神無月 霜月 師走